
- エラ・フィッツジェラルド(Ella Jane Fitzgerald)
エラ・イン・ベルリン (名盤紹介)
1960年2月13日 ベルリン(ドイッチュランドホール)公演収録版
1960年発売
1. 風と共に去りぬ(Gone With The Wind)
2. ミスティー(Misty)
3. レイディ‣イズ・ア・トランプ(The Lady Is A Tramp)
4. 私の彼氏(The Man I Love)
5. サマータイム(Summertime)
6. トゥー・ダーン・ホット(Too Darn Hot)
7. ローレライ (Lorelei)
8. マック・ザ・ナイフ(Mack The Knife)
9. ハウ・ハイ・ザ・ムーン (How High The Moon)
スローなバラードもエラの魅力の一つですが、なんといってもスキャットの迫力は他の追随を許しません。
こんなにすごい!「す・ご・い」という表現しかその頃の私には思い浮かばなかったのです。
強烈なスイング感 と、時に愛らしく愛(いと)おしくなる黒人女性特有のその魅力的な声
宇宙を飛翔するかのような奔放なるスキャットの渦!(特にこのアルバムの中の、How High The Moon.やMack The Knife. )
中2の私は完全にノックアウトされてしまいました。
スキャット満載のこのライブ音源の中でもその晩の会場の興奮とエラの上機嫌な歌いっぷりが迫ってくるこの曲を選びました。
エラ特有のアドリブ、のびのびとしたライブコンサートならではの最高に楽しい
「マック・ザ・ナイフ」
※このベルリンのドイッチュランド・ホールで12,000人の満員の聴衆の前で、エラはドイツが生んだ作曲家クルト・ワイルに敬意を表し、彼の「三文オペラ」の中から「マック・ザ・ナイフ」を初めて歌ったそうです。
これがすごい受け方をして、以後世界中で歌うようになったというエラの大人気曲になりました。
Coffee Break
エラ・フィッツジェラルドは生涯に数えきれないほどのレコーディングをしています。その中にはライブ盤もたくさんあります。圧倒的に人気があり続けるのは、まず「エラ・イン・ベルリン」です。
数々のヒット曲が収められていますが、やはりその中で光っているのは「マック・ザ・ナイフ」のスキャットと愉快なアドリブ歌詞です。瞬間に忘れた歌詞をアドリブで作詞しながらさらにスウイング感を高めていく、というのはこれはもう感嘆するしかありません。
しかし完全主義の部分もあったと聞くエラ・フィッツジェラルドですので、万が一歌詞が出てこなかった時には「こんな感じかなあ」なんて心づもりしてた部分があるのではないかと、私は個人的には思っています。そんな手段を講じてなかったとしても、エラくらいの能力があれば母国語で観客を喜ばせる作詞をするのは、朝飯前の技でしょう。