
サマータイム(Summertime)
ジョージ・ガーシュイン作曲
デュボーズ・ヘイワード作詞
1935年のオペラ「ポギーとべス」の中の楽曲
黒人だけの出演で構成
ーーーー
ジャズのスタンダードナンバーとして世界中で多くの音楽家によってカバーされています。
劇中で赤ん坊を抱いたクララが歌う子守歌。
2020年の日本の梅雨はとても長く8月に入ってやっと本当の「サマータイム」がやって来ました。
世界中の若いママがきっと、エアコンの効いたリビングで、或いは家の近所の大きな木の下で日陰を求めながら、腕の中の赤ん坊を見つめながらやさしくゆらゆらと揺れながら、何かの子守歌を歌っていることでしょう。
この劇中のクララの歌っていた1920年代のアメリカの黒人たちの生活は、そのような優雅なものではありませんでした。
19世紀の奴隷解放後の生活とはいえ、過酷なものでしたので、きっと、最後の方の歌詞の中の、
「そんな朝、お前は立ち上がって歌う。そしてその翼を広げて空高く飛んで行くんだ」
と言う歌詞には、単に子供の成長と自立を励まし祈るだけではなく、大きくなったら必ず、人間の尊厳を取り戻して、本当の意味で解放される日のために、闘うのよ」
という祈りと願いが込められているにちがいないと感じます。
- エラ・フィッツジェラルド(Ella Jane Fitzgerald)
エラ・イン・ベルリン (Ella in Berlin)
1960年2月13日 ベルリン(ドイッチュランドホール)公演収録版
1960年発売
1. 風と共に去りぬ(Gone With The Wind)
2. ミスティー(Misty)
3. レイディ‣イズ・ア・トランプ(The Lady Is A Tramp)
4. 私の彼氏(The Man I Love)
5. サマータイム(Summertime)
6. トゥー・ダーン・ホット(Too Darn Hot)
7. ローレライ (Lorelei)
8. マック・ザ・ナイフ(Mack The Knife)
9. ハウ・ハイ・ザ・ムーン (How High The Moon)
エラとの出会い
私のエラ・フィッツジェラルドとの出会いは中学2年の夏でした。こんなに良く覚えているのは5歳年上の兄が東京の大学に入学した年だったからです。夏休みに、大阪の実家に里帰りをした兄は、LPアルバム「エラ・イン・ベルリン」を持って帰ってきてステレオで聞かせてくれました。
「どうや。すごいやろ。日本の歌手なんか聞いてられんやろ」と一言、自分の手柄のように言いました。確かに、私も「すごいなあ」と思いました。
この「エラ・イン・ベルリン」のLPをすぐにお小遣いを貯めて買いに走りました。そしてレコード盤に慎重に針を落とし何度も何度も聴きました。解説には英詩しか書かれてなかったので、辞書を引きながら。
21世紀となり時代は変化しました。ユーチューブ時代になった今、再び何度も何度もその変わらぬ歌声を聴いています。歴史にその名と遺産を残す天才は数多くいますが、その中でも20世紀ジャズシーンを語るときに外せないエラ・フィッツジェラルド。
エラの魅力は、20世紀が遠くなりつつある今、衰えるどころかますます輝きを増し続けています。
ーーーーーーーーーーーー