
映画【ラ・マンチャの男】
中世のスペインを舞台にした、セルバンテスの小説「ドン・キホーテ」をもとにして作られたミュージカル作品です。
劇作家セルバンテスはカトリック教会からの弾圧ゆえに、逮捕され投獄されました。地下牢は盗賊や人殺しなどの囚人たちがウジ虫さながらにうごめく、階段を上ると処刑場へと続く、この世の果てでした。
映画の冒頭の、救いのない牢獄の様子を見て、すべての観客が個々に自分とは無縁の人生と、無意識のうちに感じるかもしれません。それでも徐々に 主人公セルバンテスの一挙手一投足に引き込まれてゆきます。
中世のしかも日本から遠く離れたスペインでのことです。しかし、巨大な権力や支配者に対して批判的な言動をすれば、即、この映画の主人公のセルバンテスと同じ目に会う可能性は、世界中のそこかしこに潜んでいるのです。
いつだって、他人事ではありません。
さて、大人になるということは、「現実に目をつぶる」という事なのでしょうか。それとも、あまりにも厳しい生活を支える労働のせいで、自分の頭で「考える」ということができないまま大人になるのでしょうか。
ドン・キホーテは狂人なのでしょうか?
ドン・キホーテに見る人間の本来の姿とは?
事実は真実の敵だ。
本当の狂気とは?
本当の狂気とは、夢に溺れて現実を見ないのも狂気かもしれぬ。
現実のみを追って夢を持たないのも狂気かもしれぬ。
だが、一番憎むべき狂気とは、
あるがままの人生に、ただ折り合いをつけてしまって、
あるべき姿のために戦わないことだ。
――――――――セルバンテス
人間の本来あるべき姿とは?
セルバンテスの時代であっても、21世紀に生きる我らが時代であっても、観客すべての人々の個々の心に訴えかけてくる
この命題は、今後のあなたの人生に多大なる影響を与えるでしょう。